日本庭園は、原始、飛鳥、奈良、平安、鎌倉、室町等の各時代に大陸からの庭園・建築技術や風俗習慣の影響を受けながら世界に類を見ない自然風景美を基本とする神仙庭園、寝殿造庭園、浄土庭園、枯山水庭園などの庭園形態を生み出し、そして日本独自の庭園文化を発展させてきました。
講演会2
「日本庭園の匠 ~伝統の継承と新たな意匠~」
講師:辻井博行(辻井造園代表)
日本では、古より様々な庭園様式が生まれ、時代と共に発展してきました。
中でも代表する3つの伝統的な庭園様式として、「池泉」「枯山水」「露地」があり、それぞれの作庭手法の一部を解説します。
また近年においては、自然の心地良さを感じる雑木の庭や、伝統的な要素を活かしつつ現代風にアレンジした斬新な庭が多く作られています。
このような生活スタイルの変遷に合わせて多様化する現代の庭園を紹介します。
さらに、日本文化の伝統美のひとつとして、作庭から始まる庭園の守り育て方について、その技法をお話しします。
1970年滋賀県大津市生まれ。大阪芸術大学環境計画学科卒。
大学在学中から、西の雄として日本を代表する造園家、環境計画学科長(大阪芸術大学学長)中根金作氏(京都)より古庭園を学ぶ。卒業後は東の雄として日本を代表する㈱綜合庭園研究室・中島健氏(東京)の元で作庭に従事する。中島健氏は「花の造園家」として著名であり、ローマ・モントリオール・カウラなど、世界中に数多くの作庭を手掛けられている。1992年には、中島氏とともにミネベア軽井沢山荘内ゲストハウス周辺改修工事/長野・軽井沢に携わった。
1995年に㈱辻井造園入社、2004年から代表取締役。中島健氏によって培われた新たな感覚の作風と、中根金作氏から学んだ代々受け継がれた伝統技法を融合し、京都・滋賀を中心に活動を行っている。
国内の主な庭園としては、本家鶴喜そば庭園改修/滋賀・大津(2006)、仁寿殿ゲストハウス庭園改修/京都・金閣寺(2008)、宮川町えん坪庭/京都・東山(2012)、石山紫の道造園修景(石山寺表参道)「さざなみの庭」「曲水の庭」/滋賀・大津(2014) 、吉田家古庭園復元/滋賀・草津(2016)などがあり、これら作品により各種賞を受賞。
海外における活動としては、2001年から福原成雄氏と共に、海外の日本庭園復元および作庭プロジェクトにも取り組み、実践家として内外における人材育成に貢献。主な実績としては、タトンパーク内日本庭園修復(1996)、「チェルシー・フラワーショー」日本庭園(2001)、ウェールズ植物園内日本庭園(2001)、ロスチャイルド美術館内日本庭園(2003)、英国王立園芸協会ウイズリーロックガーデン(2005)など。