国際交流基金はフィルモテカ・デ・サラゴサ、フィルモテカ・デ・バレンシア・フィルモテカ・カタルーニャ3機関の協力により、「自然に生きる」をテーマに、人間と自然の関わりを題材にした日本映画6作品を上映する。従来、日本文化は四季の移り変わりとその自然環境に密に関係してきており、現在でもその四季と自然に合わせた習慣は多く残っている。また、気候変動と環境保全への取り組みにより、人間と自然との共生はさらに重要性を増している。
今回上映予定の6作品は、それぞれ全く違った形で日本人と自然の関わりを描いているが、全てに共通して、自然がそこに住む人々の生活に与える影響を映し出す。
この映画シリーズでは、亜熱帯地方の奄美大島のビーチから三重県の森林地帯、立山の絶景まで、日本列島のバリエーションに富んだ数々の美しい景色を堪能することができる。
上映スケジュール
【サラゴサ】
会場:フィルモテカ・デ・サラゴサ
期間:2017年11月2日(木)から12月8日(金)まで
サラゴサでの上映に関する詳しい情報はこちらをご覧ください。
【バレンシア】
会場:フィルモテカ・デ・バレンシア
期間:2017年11月14日(火)から12月23日(土)まで
バレンシアでの上映に関する詳しい情報はこちらをご覧ください。
【バルセロナ】
会場:フィルモテカ・カタルーニャ
期間:2017年12月5日(火)から17日(日)まで
バルセロナでの上映に関する詳しい情報はこちらをご覧ください。
上映作品:
「ジヌよさらば ~かむろば村へ~」(松尾スズキ / 2015)
原作は松尾スズキをはじめ、多くの著名人もファンを公言する漫画家・いがらしみきおの「かむろば村へ」。
田舎の小さな村“かむろば村”に、常識外れな大荷物で降り立った1人の青年。彼の名は高見武晴=通称・タケ。一見どこにでもいる若者だが、実はこの男…お金を“さわれない、使えない、欲しくない”の三拍子がそろった“お金恐怖症”になってしまった元銀行マン。1円もお金を使わない!」と悲壮な決意を固め、かむろば村へやって来たタケは、どこか田舎の自給自足ライフを甘く見ているフシもあり度々命の危険にさらされるが、憎めない天然キャラに救われて、村人たちに度々助けられるのだった。“ジヌ”とは、東北地方の言葉で<銭>のこと。都会から遠く離れたかむろば村で、無鉄砲でヘタレなタケがつかみとった“ジヌを使わない生活”の行きつく先は―!?
「2つ目の窓」(河瀨直美 / 2015年)
琉球列島の北端に位置する奄美大島。島ではユタ神様が祭祀を司り、人々は自然と神への畏敬の念とともに日々暮らしている。
ユタ神様として島人の心の拠り所となっていた杏子の母イサは、病を抱えていた。自らの死期を悟ったイサは、病院から自宅に戻り、杏子は親子3人、穏やかな気持ちで残されたわずかな時間を過ごしていた。
一方、多感な界人はいつも男の影を感じさせる母・岬の女の部分に汚らわしさを感じてしまう自分を持て余し、幼い頃に別れた父を東京に訪ねていた。また、自分が同級生の杏子に求められていると知りながら、どう応えればよいのか分からないでいた。
ある晩、些細なすれ違いから、界人は岬の言動を激しくなじり、外に飛び出す。しばらくして家に戻ると、岬の姿はなかった。いなくなって初めて母親の存在の大きさに気付いた界人は、嵐の中、岬を探し回り…。
「春を背負って」(木村大作 / 2014)
立山連峰で山小屋〝菫小屋〟を営む厳格な父に育てられた長嶺亨。
社会人になった亨はそんな父から遠ざかるように金融の世界で、会社の歯車として毎日を過ごしていた。
そんなある日、父の訃報が突然届く。帰郷した亨の前には気丈 に振る舞う母、その姿を沈痛な想いで見守る山の仲間たち、そして見慣れぬ一人の女性・高澤愛の姿が。彼女は心に深い傷を負い、山中で遭難しかけたところを亨の父に助けられた過去があった。
父が遺した菫小屋と、父の想いに触れた亨は、都会での生活を捨 て小屋を継ぐことを決意する。 山での生活に悪戦苦闘する亨の前に、父の友人と名乗るゴロさんが現れる。世界を放浪してきたゴロさんの自然に対する姿勢や愛の天真爛漫な笑顔に接しながら、亨は新しい自分の人生に向き合い始める。
「菊次郎の夏」(北野武 / 1999)
楽しい夏休みが始まった。でも、小学校3年生の正男の心は少しも弾まない。お父さんを生まれてすぐ交通事故で亡くした正男は、どこか遠くで働いているお母さんを探すべく、冒険旅行の決心をした。目的地は愛知県豊橋市。そこには写真でしか見たことのないお母さんがいるはずだ。絵日記帳と宿題をリュックに入れ、お小遣いを握りしめて、正男は家を飛び出した。
近所に住む菊次郎は根っからの自由人。今の所はかみさんに食わせてもらっている。そんな菊次郎がなぜか、正男の母親探しの旅に付き合うことになる…。
「滝を見に行く」(沖田修一 / 2014)
紅葉の山々へ向かう一台のバス。それは幻の大滝を見にいくツアーの一行だった。ツアーガイドの菅を先頭に7人のおばちゃんたちが山道を登っていく。しかし、山道をしばらく進んだ菅の様子がおかしい。周囲を見回しては、首を傾げている。すぐ戻ると言って7人を山道に残し、先へ行ってしまう菅。だが、いつまでたっても戻らない。「ねえ、遅くない?」「迷ってたりして」。最初は笑っていた7人も、やがて不安になり、会話が少なくなる。空を見上げれば、もうすぐ夜。仕方なくそこで野宿する覚悟を決めた7人は…。
「WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~」(矢口史靖 / 2014)
『ウォーターボーイズ』など数々のヒット作を生み出してきた矢口史靖監督が、人気作家・三浦しをんのベストセラー小説「神去なあなあ日常」を映画化。
大学受験に失敗し高校卒業後の進路も決まっていない勇気は、軽い気持ちで1年間の林業研修プログラムに参加することにした。向かった先は、携帯電話が圏外になるほどの山奥のド田舎。粗野な先輩ヨキにしごかれ、虫やヘビの出現、過酷な林業の現場に耐え切れず、逃げようとする勇気だったが……。